いぢわる兄は同級生







「あ、あれ‥‥‥?いない‥‥」



それどころか、その奥に続く廊下にも彼女の後ろ姿はおろか、人の気配すらなかった。





「え?‥‥‥ありゃ?」




パニクって首をかしげたり辺りを見回していると、不思議そうな大地先輩が口を開く。




「どうしたの?」




「さっき大地先輩があたしかの名前を呼ぶまで、ここにいた先生がいないんです」



「先生?‥‥そんな人いた?」






「‥‥‥‥え?」




「桃子ちゃん、俺が見つけて振り返る前から一人でここにいたよね?」







‥‥‥‥そんなはずは‥‥。





「とにかく、先に体育館に戻ろう?」




「‥‥‥‥はい‥‥」






まぁ、ここの先生なら夏休みが終わればきっとまた会えるし‥‥もしかしたら急に用事を思い出して急いで帰っちゃったのかもしれないし。





あたしはそのくらいに考えて、大地先輩と体育館へと戻る道を歩いた。







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