いぢわる兄は同級生
そして、体育館もあと少し。
高校の中でも一番たくさん生徒や先生が利用する、中央廊下を歩いてたとき。
ふと、目に入った写真。
「あっ!」
一番左はじの額に飾ってある写真を見て、あたしは声をあげた。
「どうしたの?桃子ちゃん」
隣を歩く大地先輩も足を止めて、あたしの視線の先を見た。
「あの先生です!」
「さっき言ってた、女の先生?」
「は、はい‥‥」
そう、あたしが見つけたのは、さっきの優しい女の先生の写真で。
ニコリと微笑んだ時と同じ顔をして、そこに写っている。
少しだけ写った上半身を見ると、さっき会ったときと同じ‥‥少し昭和っぽい感じの服で。
「待って、桃子ちゃん‥‥」
いつもと違う、少し驚いた様子の大地先輩は、慌てて持っていた懐中電灯でその写真を照らした。
それを見て、あたしも大地先輩も言葉を失う。
【歴代校長】
昭和##年 初代校長・愛野好美
そこには、確かにそう書かれてあった。