いぢわる兄は同級生
雅に言ったら、きっと栄介くんと一緒に探してくれる‥‥。
でも、あたしの不注意でこうなっちゃったんだもん‥‥。
せっかくの二人の花火の邪魔をしたくない。
「え、えっと‥‥ごめん。すぐそこに中学の時の友達来てて‥‥ちょっと会ってきてもいいかな?」
「なんだ、そうなの。わかった〜、ここで待ってるから。いつでも戻ってきな?」
「う、うん。ありがとう‥‥行ってくるね!」
気をつかわせてしまってはいけないと嘘をつくと、雅は疑うこともなく快く承諾してくれた。
あたしはバッグを持つと、そのまま急いでその場を後にする。
‥‥‥早く。
早く見つけなきゃ‥‥っ。
そう強く思えば思うほど、あたしの足は前へ前へと進んでいった。