いぢわる兄は同級生
下を向いて歩いていると、時折花火の大きな音と共に一瞬地面が明るくなる。
その光をもとに歩き続けたあたしは、河原へ入る時に渡った橋の上へと来ていた。
そして‥‥そういえば来るときに、ここでバッグの中からティッシュを取り出したことを思い出す。
‥‥‥もしかしたら、ここで落としたのかもしれない‥‥。
また、見つかる可能性が出てきたことに少し喜びを感じながら、あたしはしゃがんで辺りを見回し始めた。
花火も始まったということで、入り口にあるこの橋にはあまり人がいなくて、比較的探しやすい‥‥。
花火大会が終わって、ここが混雑する前に早く見つけないと‥‥‥。
「‥‥桃子ちゃん」
不意に後ろから聞こえたその声に‥‥‥。
心臓がドクンと嫌な音をたてた‥‥‥。