いぢわる兄は同級生







「結衣ちゃん‥‥一人な‥の?」


近くを見回すが、誰かと一緒にいる様子はない。





「ううん。水樹くんと来たよ〜」


「あ、そうなんだ‥‥」





まるで、合宿の時のことなどなかったかのように平然としている結衣ちゃんに、少し安心する。



良かった‥‥。



もしかしたら、あの時のこと聞かれるかと思っていたから‥‥‥。





「さっきまで水樹くんと一緒にいたんだけどね、人混みの中ではぐれちゃって‥‥‥電波混み合ってて、携帯も繋がんないし‥‥‥とりあえず、人があんまりいなさそうな所に来たら、桃子ちゃんがいて‥‥」





不思議そうに結衣ちゃんの近くを見回すあたしに気付いたのか、水樹とはぐれてしまったことを説明してくれる。






あたしはそれを聞いて、今さらなのかもしれないけど‥‥改めて水樹と結衣ちゃんが付き合ってるということに、胸がギュッと苦しくなった。







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