いぢわる兄は同級生
「水樹くん!桃子ちゃん!雅から聞いたよ〜っ、二人とも‥‥んごっ!」
あたしたちより少し遅れて登校してきた栄介くん。
大きい声でそう言いながら近付いてきた彼の口を、瞬時に水樹の左手がふさいだ。
「声がでかい。バカ」
「ほへふ、ほへふ(ごめん、ごめん)!」
本当に謝る気があるのか‥‥‥。
水樹に口をふさがれたままの栄介くんは、軽い感じで謝る。
「栄介、ちょっと来い」
「んふぇ(え)?」
そんな様子を見た水樹は、そのまま栄介くんを引っ張って教室から出ていってしまった。
「‥‥行っちゃった」
「まぁ、男同士で話すこともあるんじゃない?」
「‥‥‥‥‥‥」
「桃子、どうかした?」