いぢわる兄は同級生
不思議だった。
水樹はあたしのためにこう言ってくれてて。
その言葉からは、ちゃんと水樹の温かさが伝わってくる。
なのに‥‥‥あたし、最低だ。
こんな時でさえ、水樹の口から出てくる結衣ちゃんにヤキモチを妬いてしまう。
水樹の言う通り、確かに結衣ちゃんには冷たくあたられたこともあった。
でもそれは、本当に水樹のことが好きだからで。
結衣ちゃんが悪くないことも、本当は優しい子なんだってことも分かってる。分かってるけど。
それでもやっぱり、他の女の子をほめてほしくないと思っちゃうのは、わがままなのかな。
あぁ‥‥‥ダメだ。
なんだか、頭がボーッとする。
意識が途切れる前に聞こえたのは。
「‥‥‥おやすみ、桃子」
水樹の優しい声と、そっとおでこに触れた微かな違和感だった。