いぢわる兄は同級生






「食いたいの?」



「‥‥‥べっ、別に!」




そんなあたしを見透かしたように水樹はニヤリと笑う。



「ふーん」




やっぱり素直に食べたいって言えば良かったかも‥‥‥。



何かを企んでいるようないぢわるな水樹の笑みを見て、そう後悔する。





「あ‥‥‥」




結局一個も食べないまま缶のふたを閉めようとする水樹に、思わずそう声をもらすと。



「やっぱり食いたいんじゃん」


「‥‥‥‥‥うん」



今度は素直に返事してみる。





すると、水樹は缶の中から一枚のクッキーをつまんで。



「ん、あーん」


「‥‥‥‥‥ッはぅ!?」




なんともベタな展開に、思わず赤面してしまうあたし。






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