いぢわる兄は同級生
「水樹ならもう出たけど」
「ヘッ?」
ママの口から出た思いがけない言葉に、思わずまぬけな声をもらす。
だって、水樹がもういないってことは‥‥。
「ちっ、遅刻する‥‥‥ッ!?」
いつもは水樹の自転車の後ろに乗って学校に行ってるから、時間に余裕があるのに。
今日はなぜかその水樹がいない。
ということは。
「走らねばッ!!」
ガタッと音をたてて立つあたしに、ママは少し驚く。
「朝ごはん、もういいの?」
「うん!あっ‥‥‥えーと、本当は食べたいんだけどっ、それは不可能というか、なんというか‥‥」
「?」
「とにかくっ、行ってきます‥‥っ!」