いぢわる兄は同級生






「うぅ〜、ヒドイよ水樹。置いてくなんて」



ローファーを履いて、ダッシュで玄関を飛び出す。




もう風で制服が乱れようが、髪がぐちゃぐちゃになろうがお構い無しに、学校へ向かって走る。




まだ完璧に風邪が治ったわけじゃないのに、病み上がりでこんな運動をすることになるとは‥‥。




そう思いながらも必死に走って、転びそうになったり、靴が脱げたりしながらも、なんとか学校までたどり着く。




「ッはぁ‥‥はぁ」



「お、久しぶりだなぁ上原!朝からそんなに息切らして、はりきって来たのか!」



校門の前で立ち止まると、生徒指導部兼、うちの担任が挨拶をしながら生徒を出迎えている。


「あははは‥‥‥」



笑ってなんとなくスルーしながら時計を見ると、ホームルームまで5分前。



なんとか間に合った‥‥。






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