いぢわる兄は同級生
▼いぢわるな兄
「話してたら遅くなっちゃった‥‥っ」
結衣ちゃんと別れてから、急いで教室に向かう。
時間はホームルーム直前で、廊下にも生徒はあまりいなくて、余計に焦ってしまう。
でも‥‥‥結衣ちゃんとちゃんと話できたから、ちょっとくらい遅刻してもあんまり気にならないや。
すっかりほっとしてる胸を押さえながら階段を上ろうとした時。
「っわ‥‥‥!」
階段の下の物置から出てきた誰かに、腕を引っ張られる。
そのまま物置の中に連れてかれると、パタンと閉まる扉。
それが誰なのかを見る暇もなく、座ったまま後ろからギュッと抱き締められる。
顔は見えなくても、あたしはこのぬくもりを知っている。
「‥‥水樹?」
「‥‥‥‥正解」