いぢわる兄は同級生
「「‥‥まじで」」
今日から通う、家から一番近いから受験した一般の公立高校。
玄関に張り出されていたクラス表を見て、あたしと水樹の声が重なる。
【1年A組】
上原水樹 上原桃子
‥‥‥‥ ‥‥‥‥
‥‥‥‥ ‥‥‥‥
同じクラスの下に並びあうあたしたちの名前。
高校生にもなって、兄妹で同じクラスなんて‥‥‥。
「なんでまたもー子とクラス一緒なんだよ」
唇を尖らせて、あたしの髪をくしゃくしゃする水樹。
"また"っていう水樹の気持ちも分かる。
だってあたしたち、中学の時もずっと同じクラスだったから。
「あたしだって嫌だもん。また水樹と一緒なんて」
そう言って頭の上にある水樹の手をどかす。
せっかくブローしてきた胸下まである髪が、水樹のせいでぐちゃぐちゃ。
「へぇ、俺は"嫌"とは一言も言ってねぇのに、もー子は嫌なんだ?」
不機嫌そうな顔を見せる水樹。
確かに、水樹は嫌なんて言ってない。
あたしだって、本当に嫌なわけじゃないよ。
でも‥‥なんだか水樹の前だと、素直になれない‥‥‥。