いぢわる兄は同級生
水樹の口から出てきた言葉は、あまりにも意外で‥‥。
中学の時もモテていた水樹。
その時は、今みたいに友達に茶化されても
「好きじゃねぇから断った」
って、それがいつも決まっていう言葉だった。
だからあたしは、今回もそうなんだろうなってばっかり思っていて‥‥。
"秘密"ってことは‥‥‥?
「秘密ってなんだよーっ」
少し戸惑うあたしをよそに、栄介くんはむくれながら水樹を小突く。
「‥‥‥うるせぇ、関係ねぇだろ」
低くもなく、高くもない、いつもどおりのトーンで言った水樹は、栄介くんを手でトンっと通路から寄せた。
水樹のその言葉で、ハッと我に返る。
‥‥‥関係ない。
水樹があの子になんて返事したかなんて‥‥‥あたしには関係ないんだよね‥‥。
なのに‥‥‥どうしてこんなに胸が騒ぐんだろう‥‥‥。
この胸にある‥‥モヤモヤはなんなんだろう‥‥‥。