LOVE*PANIC
長く掛かるだろう、と危惧していたレコーディングは、意外にもあっさりと終わった。
曲自体難しいメロディだし、レコーディングスタッフもかなりの気合いを入れていた。
一歌はリテイクの嵐になることを予想していた。
だが、最初から、自分でも納得の出来る歌声を出せたのだ。
きっと、何年も歌ってきた中で、一番いい歌声だ。
気持ちを入れ替えるだけで、これ程までに差が出るとは、一歌自身思ってはいなかった。
レコーディングに立ち会った柴田も笹原も、納得のいく出来になった。
何より、一歌自身が一番満足する出来だった。
後は、ドラマのオンエアを待つだけの状態だ。
その間にも、ジャケットやPVの撮影はあるが、取り敢えず山場は越えていた。
一歌の中の、修二への恋心は簡単には消えそうもなかったが、強く前を向いていける。
一歌はそう強く確信していた。
これから、全てが始まるのだ。