LOVE*PANIC
6th*PANIC「再びの出会い」




笹原が迎えに来るまで、あと三十分。


一歌は髪にドライヤーをあてながら悔やんだ。


何も、こんな日に寝坊しなくても。


確かに最近の一歌は連日寝不足の状態が続き、睡眠は移動中の車の中で取っていたくらいだ。


だが、今日は大事な仕事だから、と笹原が昨日は午前で仕事が終わるように調整してくれていた。


沢山寝れる、という余裕から、普段なら絶対にしない寝坊をしてしまったのだ。


きちんとアラームをかけていたし、念の為、と笹原も電話を掛けてくれた。


でも、起きたのはついさっきだった。


一歌は急いでシャワーを浴びて、朝食は野菜ジュースで済ませ、今は一生懸命髪をブローしていた。


最悪、生乾きで、向こうでどうにかするしかないだろう。


本当に最悪だ。


一歌は溜め息をつきながら、ふと、テレビに目を向けた。


すると、あまりに衝撃の内容が、一歌の目に飛び込んだ。



『浅田修二、北村葉瑠、ビッグカップルまさかの破局!』



一歌は思わず、手にしていたドライヤーを落とした。



あれから……――、一歌が修二に振られてから二年の歳月が流れていた。


一歌は修二がくれたチャンスを見事に掴み、今や売れっ子アーティストにまで成長していた。


全て修二のお陰だと、一歌は今でも思っていた。


そんな、一歌がチャンスを掴むきっかけとなったドラマのオンエアを目前に控えた時、修二と葉瑠の交際がマスコミにばれた。


それはもう、すごい騒がれようで、芸能界一のビッグカップルと呼ばれる程だった。


少ししてからは、その熱も冷めたが、半年程前からは、新居を買っただとか、親に挨拶をしただとか、結婚一直線の報道になっていた。




< 102 / 109 >

この作品をシェア

pagetop