偶然の出会いが運命を変える日。
家に帰った。

「ねえ、今まで何やってたの? こんなに時間かかって。」

予想通りの言葉。


でも、もうこんなんにひるんだりなんて、しない。


「立ち読み。ずっとしてた。」


お母さんはそのまま不機嫌そうに台所の方へ向かった。



なんだ、そんなに難しくないじゃん。



自分の部屋に入る。

「あのCD、買いそびれたな・・・なんてタイトルだったかも覚えてないや。」

何も知識のない私をも、惹きつけたあのジャケット。


今度渋谷に行ったら、絶対買わなくちゃ、、、



あっ、コンサートのチケット!!!



思わず声を出しそうになって、慌ててこらえる。


そっと、バッグから取り出す。


よし、誰にアリバイ工作を頼むかな・・・


携帯を開いて、適当に電話帳を回す。



「んっ、しおり!!」


大塚 栞、うちのクラスの人気者。



プルル、プルル、プルル・・・



「はーい? もしもしー?」


「しおり? あのね、お願いがあって・・・」
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