ハッピーエンド
仲埜とてそれなりに裕福な生活をしているが、それだけに目が肥えていて、この奇妙な一室を占めている数々が一般庶民には手の届かない物であることが一目で分かった。

硝子のテーブルに置かれている灰皿一つとっても英国製の数十万する代物だ。

部屋の広さは十数畳だろうか。
長方形で奥行きが短い分、横に長い。

床は毛足の長い真紅の絨毯が敷き詰めてある。

応接セットは右奥に位置してあり、左にはホームバーのように小さなカウンターがあった。

残念ながら奥のサイドボードには何も入ってない。

ゆっくりと立ち上がった仲埜は激しいめまいに襲われて思わず壁に手をついた。


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