ハッピーエンド
「勿論よ、田中君の頼みだもの、断れないわ」

そう言って栄子は好色そうな目をギラギラと光らせた。
50をとうに過ぎた体は、全く努力をしない事と、重力に従って張りもなく弛んでいる。

しかも酷い体臭だ。
栄子を抱きながら田中はいつも動物を抱いているような錯覚をするのだが、当の栄子にとって燃え滾る欲望はまだまだ枯れる事を知らないようだった。

「有難うございます。また当日の1時過ぎにはお伺いしますので」

「待ってるわよ、1秒でも遅れたら他の銀行に書き換えちゃうから」

田中の脇の下に冷たい汗が流れた。

「では、そろそろ行かないと遅刻しますので・・・」



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