ハッピーエンド
会社を設立して半年しかたっていない、会社社長の僅かな笑みを気にかける事が出来なかったのだ。

その会社は当初から倒産を目的とした取り込み詐欺だったのだ。

融資を実行した僅か数週間後に仕入れるだけの商品を納入した後、あっけなく倒産した。

貸し倉庫に唸るほどあったコピー機やオフコンは倒産に気付いた債務者が駆けつけた時には、全て無くなっていた。

債務者の中には暴力団絡みの町金もいたが、社長は平然とした顔で融資を受けた金も納入した商品も全て運転資金に使い切ってしまったと説明した。

すべては仕組まれた筋書きだったのである。真っ青になった田中は担保に取ってあった土地へと急いだ。早急に担保を占拠して第一抵当権を主張する為である。


< 102 / 223 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop