ハッピーエンド
しかし2,3日前まで更地だった土地には小さなプレハブが立っていた。
おそらくクレーンで置いただけの基礎もいらないような代物だろう。

中には明らかに目つきの悪い男が7,8人たむろして麻雀や雑誌を読んでいる。世間を知らない若造が勝てる相手ではない。それでも田中は勇気をだしてドアを開けた。

「あの・・・蓬莱銀行の者ですが・・・」

「銀行屋さんが何かようかい?」

田中が来るのを待っていたかのように男が言った。

「実はですね、此処の土地はパシフィックリースさん所有の物でして、そこがこの土地を担保に当銀行から融資を受けたんですよ」

冷や汗を流しながら必死に説明する田中を男達はニヤニヤしながら無言で見つめた。


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