ハッピーエンド
きっと何もかも知っているに違いない。部屋の隅で拳銃を手入れしている男が田中の視界に入った。

「で、どうしたいんだい?田中さんよ」

田中が差し出した汗に濡れた名詞を手の中で弄びながら、入口近くに座っていた男がサングラスを外した。
シャツの袖から刺青が見える。

「その・・・回収したいと思っているんですが」

もはや相手の顔も見れない。下着まで汗でびしょ濡れになった体は小刻みに震え始めた。

「そうかい、そうかい。そりゃ御苦労な事だな。でもよ兄さん、俺達もその会社に融資してるだよ。勿論この土地は担保だ。あんたんとこの次の抵当権だけどね。あんたが第一抵当権を主張するなら、こりゃちょっと面倒な事になるぜ。俺達だって生活かかってるんだ。うちの事務所に来て責任者と話し付けて貰わないと困るね」
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