ハッピーエンド
「そ、そんな・・・」

真っ青になる田中を面白がるように、責任者とみなされる男は何度も足を組み替えた。

その度に男の靴が田中の膝に当る。
後ろに下がろうにも田中の背後はおろか両脇までもが数人ずつの男達によってガードされているのだ。

「嫌だったら、あの土地は俺達が貰う。ただ兄さんも手ぶらじゃ帰れないだろ。代わりの金を用意してやる。それを持って帰って銀行には返済しときな」

「その資金は・・・」

もう混乱して何が何だか分からない。ただ金さえ貰えればいいという気持ちで一杯になる。

「勿論あんたの所から借りるのさ」

男はニヤリと笑った。歯茎までもが剥き出しになって激しい嫌悪感と恐怖が駆け巡る。

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