ハッピーエンド
(しかし部外者の前で自分の事情を話すわけには・・・それに話した所でどうにかなるものでもあるまい)

相手が拳銃だけならなんとかなる。こっちは4人、むこうは2人、死ぬ気になれば制圧出来るだろう。しかし外に出る為の暗証番号が分からない。

葛西はたとえ死んでも、全てが終わるまでは教えないと言った。


その言葉に嘘は無いような気がする。
葛西という初老の男には未だ少しだけ人間の優しさがあるように思われるが、カウンターの椅子に腰掛け、水だけを飲んでいる香坂麻里という女には底知れぬ何かを感じた。

確かに綺麗な顔をしている。田中自身、今まで見たことも無いような美しさだ。

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