ハッピーエンド
「ひゃあ!」

後から思えば我ながら情けない悲鳴だったと思う。

手の主は先ほどまで苦悶の表情を浮かべていた若い男だった。

「そんなに驚かないで下さいよ」

屈託のない笑顔が妙に白々しく馬鹿にされたような気分になる。

「君がいきなり現れるからだ」

憮然として仲埜は男を睨んだ。

最近の若者はみんなこうなのだろうか、落ち着き無く体を左右に揺らし真っ直ぐ立っていられないらしい。

そんな態度が殊更に軽薄なイメージを与える。

「おじさん、此処どこですか?」

「知らんよ。俺が聞きたいぐらいだ」

< 12 / 223 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop