ハッピーエンド
「寝かせといてやれ。あの子が起きても何の手掛かりも無いだろう」

それから二人で部屋をぐるぐると歩き回ってみる。
しかし長方形の狭い空間では見る所も限られていて、何一つ今の状況を説明出来る物など見つからなかった。

あるのは寝かされていた応接セットと空のサイドボードだけ。

「君、名前は?」

「僕ですかあ?」

「他に誰がいるんだ」

男の一言一言にムッとしながら努めて冷静さを装う。

「僕は東慶介(あずま けいすけ)22才。おじさんは?」

「俺は仲埜駿(なかの しゅん)、医者だ。年は君より二周りほど上だよ」

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