ハッピーエンド
「私には両親が居ません・・・おじさんの事、お父さんみたいに思ってました。司と結婚したらお父さんが出来る・・・それが嬉しかった」

楽しかった頃を思い出したのか麻里の表情は和らいだ。しかしすぐ現実の厳しい顔に戻る。

「おじさんとの縁を切りたくない」

麻里の言葉に葛西は、親子以上も年の離れた彼女が自分を男として見ていて、その意味で待ちたいと言ったものだと勘違いした。
あとに続いた『お父さん』という言葉にすぐ自分の勘違いが分かって恥ずかしいやら嬉しいやらで照れくさくなる。

「おじさん、どうしたんですか?」

無意識に赤面してしまった葛西を見て不思議そうに麻里が言った。
勘違いした事なんかとても言えない。

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