ハッピーエンド
「手遅れだった・・・もう心肺が停止していたんだ」

「それは貴方の責任ではない。あなたは医者としてやるだけの事はやった筈です。しかも相手は愛する人です・・・本当に遺書は無かった?」

「無い」

仲埜は短く答えた。脳裏に真喜子の絶望に満ちた字が書き綴られた自分宛の遺書を処分した夜が浮かぶ。

「本当に?」

「無いと言ったら無い!しつこいぞ」

大きな声に亜衣がビクッと体を震わせた。

「そうですか、だったらいいです。遺書は無かった・・・彼女はどうして死を選んだんでしょう?何か思い当たる事は?」


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