ハッピーエンド
「その通り。幸い私と白血球の型が一致しまして移植したおかげですっかり元気になりました。でも骨髄を採取するのは痛かったですよ、私にも麻酔をして貰いたかったぐらいだ」

「僕も盲腸の手術で背中に麻酔注射した事ありますよ、凄く痛かった」

慶介が緊迫した雰囲気を壊すかのように言った。

「そうですか、こうやって背中を丸めるんですよね。針が刺さった瞬間思わず仰け反りそうになったんですけど、医者に押さえつけられましてね、息子の為とは言えその時は、もうやめてくれと思いましたよ」

視線は仲埜から外さず葛西は笑い声を出した。

仲埜はそれに答えず黙ったままである。



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