ハッピーエンド
美穂が自分を待ってくれている。自分を必要としてくれている。
本気でそう思ったのか思い込もうとしたのか・・・。

(行かなきゃよかった。行かなかったら何も変わらず幸せだったのに)

その居酒屋はすべてが個室になっている少し高級な割烹風の店だった。

店の人に大学とサークル名を告げて教えてもらった部屋の前に立った亜衣は走ってきたのが恥ずかしくて、ドアのまえで少し息を整えた。

中からは聞き覚えのある仲間の声が聞えてくる。

「あれ?蓮尾さんは?」

「トイレじゃない」

「最初から居ないよ。亜衣今日は用事あるんだって」


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