ハッピーエンド
両手で耳を押さえて歩く亜衣をすれ違った人が怪訝そうな顔で振り返る。

何所をどうやって帰ったのか、気が付いたらマンションのベッドに呆然と座っていた。電気を点ける気にもなれない。

(私は一人だ・・・本当に一人だ)

それでも明日になれば何も聞かなかったふりをして今までどおりに彼らと付き合うだろう。

あの場所でドアを開けて文句の一つでも言う勇気があれば、最初から一人になんかならない。

もう涙も出なかった。心が疲れきって枯れてしまったみたいだ。

その時、静寂を破ってドアチャイムが鳴った。






< 32 / 223 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop