ハッピーエンド
「ここは病院なんだから静かにするように言ってきてくれないか」

二人きりになった病室に女の低い声が響いた。

「私が行って来る。行って説明してくる」

「馬鹿な事は止めなさい。君が行ってどうかなるものではない」

「いいのよ・・・私を殴り殺せばいい」

深い絶望に染められた声だった。

(こんな声じゃなかった・・・どうしてこんな事に)

「先生、納得してくれませんよ、先生も来て下さい」

処置室のドアが開いてさっきの看護士が顔だけ出した。後ろから怒声が聞こえる。
「分かった、今行く」

「あなた・・・何を考えてるの?」

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