ハッピーエンド
20畳近い広さの一昔前に流行った豪華な応接室、革張りの応接セットと洋酒が並んだサイドボードに大きなテレビモニター。厚いカーテンが外をさえぎって昼か夜かさえも分からない。

そして部屋の隅には銀色の寝袋のような物が転がっていた。

「大丈夫だよ、あと2時間は起きない筈だ」

「それまでに私を説得して返すつもりですか?」

女の言葉に男は黙って背をむけた。

頭を覆う毛髪は殆ど真っ白に近くなっているが、長袖シャツ越しにもはっきりと分かるほど背中の筋肉が盛り上がっている。
二の腕あたりもはちきれそうな勢いだ。

小さなコップに茶色い液体を満たした男は、女の前に座ってから一気にそれを飲み干した。


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