ハッピーエンド
深い皺が刻まれた表情は５０前後だろうか、角張った顔に大きな瞳が燃えるように輝いている。

「そのつもりだったが・・・何とか思い直してくれないかね。司もこういう事を望んでいたとは思えん。麻里ちゃんは未だ若い。惚れた男のことを忘れられないのは分かるが時が解決してくれる」

「嫌です」

小さいがはっきりとした口調で女は言った。
今度は真正面から男の顔を見つめている。その強い視線に押されたかのように男は目をそらした。

「相変わらず強情な子だ」

「そこが可愛いって司・・・司君も言ってくれました」

少し目を細めて微笑みながら女は答えた。目が赤く少し泣いたような後があるが、男同様に意思の強そうな大きな目をしている。


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