ハッピーエンド
弘子という地味で平凡な女だったが、いつまでも独身では世間体も悪いし何となく周りに流されて結婚した。

やがて仲埜が当初感じた控えめさは意思の無さに変わっていく。

弘子は何の面白みも無い人形だった。

趣味らしい趣味もない。
親しい友人がいる風でもない。
仲埜が食べたいという料理を作り、仲埜が見ているテレビを黙って一緒に見た。

仲埜が仕事の話等をすれば時折あいづちをはさむ程度で自分から話し掛ける事は滅多に無い。

それどころか仲埜は弘子の笑った顔を見た記憶がなかった。

自然に家庭から足が遠のき外で飲む機会が多くなる。

そんな時に連絡をせず帰宅が深夜になろうと弘子は食卓に料理を並べたままじっと待っているのだ。
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