ハッピーエンド
「おじさん、血・・・」

震える拳から鮮血が滴り落ちた。

薬を取りに行ったのだろうか、慌てて部屋を飛び出した麻里を眼で追った後、男は呆然と自分の拳を見た。

「あの子を巻き込んでもいいのか・・・本当に?」

小さい呟きが聞えたのかどうか、寝袋が再び動いた。

何度も通った慣れた廊下を曲がり麻里はリビングに入った。
所々に傷のあるアンティークな引出しを開け消毒液と包帯等を取り出す。
引出しの上には色あせた写真立てが置いてあった。無言でそれを手にとる。





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