ハッピーエンド
幸い階段の向い側、ホームカウンターの横にスライド式のドアがあって、その奥にトイレだけはあったが、未だ誰も使ってないし、ましてやトイレの水を飲もうと思うほどには追い込まれていない。

「どうしてこんな事に・・・家に帰りたい」

半分泣くような細い声で亜衣が呟いた。

「大丈夫だよ。私が必ず出してあげるから元気を出しなさい。犯人は何かの目的を持ってるんだ。絶対に向こうから接触してくる」

亜衣を励ます為と自分にも言い聞かせるために仲埜は強い口調で言った。

「お腹空きましたね」

「今はそれどころじゃないだろ!」

妙に呑気な慶介の声に仲埜は思わず怒鳴った。

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