ハッピーエンド
田中と呼ばれたスーツ姿の男が遠慮がちに葛西に声をかけた。田中の目も少女に釘付けになっている。

「彼女は・・・彼女の名前は今は関係・・・」

「香坂麻里です」

一言だけ女が口を開いた。乾いた何の感情も持たないような声だった。

「麻里ちゃん・・・」

「いいんです。私も何の咎めも無しで済むとは思ってません」

麻里の言葉に葛西は沈痛な表情を見せた。

「二人の話はいいから、早いとこ今の状況を説明して頂けませんか?私たちも大分待ったので」

麻里の方を向いている葛西に向って、仲埜は静かに言った。



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