ハッピーエンド
その日が来ると田中は午前中で業務を打ち切り休みをとるのだ。支店長も何時もの事だし、翌日田中が出勤する時には栄子名義の大金を仕入れてくるので愛想笑いで見送ってくれる。

まさか田中が全裸で縛られ栄子の醜い体を愛撫しているだろうとは夢にも思っていないだろう。

田中も後には引けない。学歴もコネも何もないのだ。
営業員としての行動力も無い
。あるのは強烈なコンプレックスと虚栄心に塗り固められた上昇志向だけである。いまさら年下のエリート達に頭を下げる事は決して出来なかった。

「たしか来週には国債の期日が来るんじゃないかしら?」

(何が、ないかしら?だよ・・・全て把握してるくせに)

「そうですね。3000万です。出来れば上乗せして再購入していただけると嬉しいんですが・・・」

< 99 / 223 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop