月物語2 ~始まりの詩にのせて~
皆が考え込む中、劉巾は今の平当の発言に引っかかった。
―武術?
武術…、武術…そうか!
「やはりここは主上に、いえ、祝融様に頼りましょう。」
「何を…」
東苑が渋い顔をする。
「“武術”では駄目なのです。
例え手練れを雇ったとしても、獅子兄と対峙するには時間がかかりすぎる。
あっさり負けると不自然でもあるし、自ら怪我もしなければなりません。
それに獅子兄が強行突破したところで、足が着くのも時間の問題です。」
「なるほど。
武術以外で、つまり獅子殿を天術にはめるのですね。」
「それなら、俺も疑われずに彩夏を連れ出せるってわけか。」