月物語2 ~始まりの詩にのせて~
「おい。
お主等は、自分で何とかしようとは思えんのか。」
「そうは言っても東老師。
天術が使えるものなどそうはおりませぬ。」
東老師が難しい顔をした。
自分にもう少し力があれば、と劉巾は思う。
だが、今は時間がないのだ。
近々王は動く。
「こうなっては仕方ありません。
祝融様が逃がしたとあらば、後の処遇が大変なものになるでしょうが、彩夏殿も一緒に逃げていると思われた方が時間稼ぎになります。」
「しかしのう…」
「その後の手立ては我々で考えましょう。」
仕方ないと、東苑も頷いた。
「祝融様の術は、俺が解きます。
俺たちが動いていることは、王は知らないのですよね。」
「おそらく、祝融様は気づいていると思う。」