月物語2 ~始まりの詩にのせて~
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夜、伯升は礼の部屋に潜り込んだ。
天井裏に隠れながら、様子を窺う。
王には光燐という女が付いていた。
伯升の掌には鍵が握られている。
早く出ていけ、と伯升は思った。
「礼。」
外で王を呼ぶ声がした。
「祝融様ですわね。
毎日お通いになられて、礼様のことを愛してらっしゃるのですね。」
「へっ?
いや、ちょっと違うと思う」
愛と言うよりは、懐かれてるという表現の方が合う、と伯升は思った。
光燐という女が、朱雀を招き入れる。
「彼はまだかしら?」
礼が言った。
―他にも誰か来るのか?
「いえ、その…」
「何よ。」
「お呼びしてよろしいんですの?」
光燐が王と朱雀を交互にみる。
―何の話だ?