月物語2 ~始まりの詩にのせて~
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王宮の一室で、朱雀は苦悶の表情を浮かべていた。
どんな顔をして会えばよいのかわからない。
官たちは、黄国から礼が帰ってくると思っている。
あながち間違えではないが、朱雀はその先の真実を知っていた。
どれほど過酷なものを、王に背負わせたのだろう。
朱雀は目を閉じた。
今、朱雀に出来るのは、官たちを抑えておくことだけだ。
今度こそ、きちんと王を迎えよう。
それが、“己の役目”だと思った。