月物語2 ~始まりの詩にのせて~


―――――――――――――――――――――――――――――



王宮の一室で、朱雀は苦悶の表情を浮かべていた。



どんな顔をして会えばよいのかわからない。



官たちは、黄国から礼が帰ってくると思っている。



あながち間違えではないが、朱雀はその先の真実を知っていた。



どれほど過酷なものを、王に背負わせたのだろう。



朱雀は目を閉じた。



今、朱雀に出来るのは、官たちを抑えておくことだけだ。



今度こそ、きちんと王を迎えよう。



それが、“己の役目”だと思った。



< 12 / 248 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop