月物語2 ~始まりの詩にのせて~
獅子とは別方向に駈けた。
こちらの兵は、張湯の所まで連れて行く。
但し、時間稼ぎをしながらだ。
王が捕まっては意味がない。
遠くで何人かの衛兵が、ばたばたしている。
あちらも王がいなくなったことに気づいたのかもしれない。
獅子は上手く彩夏を逃せるだろうか。
花英という者を王が送ってきたから、獅子が一人で行動せずにすんだ。
出来るだけ疑われずにおきたい。
―間に合え!
劉巾は張湯の牢へ向かった。