月物語2 ~始まりの詩にのせて~
「お主、こんなべっぴんさんを殴ったのか?」
「何言ってんだ。
軽く打って、気絶させてるだけだよ。」
「同じ事じゃ。」
「しょーがねーだろ。
暴れられても困るからよ。
とにかく、預かっといてくれ。
親父にしか頼めねー。」
男は溜め息をつく。
「まったく、いつまでわしに面倒をかける気じゃ。
まぁ、しょうがない。
あの子らの面倒をみるのに手がたりないところじゃったのよ。」
男はにやりと笑って見せた。
その顔にはいくらか皺が刻み込まれている。