月物語2 ~始まりの詩にのせて~
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門は開けられない。
礼は、城壁を越えるしかなかった。
馬は、金大好に隠してもらっている。
―意外と役に立ったわね、あの男。
旅支度はほぼ完璧になされていた。
それもこれも、礼ではなく王のためではあるが、お陰で順調に事が運びそうなのである。
「我々が先に登ります。足場を作ったら…
「いや。
礼は私が。」
それまで黙って走っていた朱雀が、口を開いた。
「ですが―」