月物語2 ~始まりの詩にのせて~






その瞬間、深紅の刃が闇を切り裂いた。



―翼…



朱雀の翼だ。



その美しさに、礼も二人も唖然とした。



礼は瞬きも忘れていると、いつの間にか宙に浮いていた。



下では二人が軽々と城壁を登っているのが見えた。



「彼らは血死軍ですから。」



礼の心を読んだかのように、朱雀は言った。



羽音は聞こえない。



背後には、翼を覆うように月が出ていた。




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