月物語2 ~始まりの詩にのせて~
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数刻前のことだ。
そわそわ。
劉巾(りゅうきん)は心の中で舌打ちした。
―イライラ。
朱雀が目の前を行ったり来たり。
―そわそわ。
今度は、実際に舌打ちした。
イライラ。
そわそわ。
イライラ…
『って、いい加減ににしろー!』
「っと、いう具合に、もうご主人様の帰りを待ちわびて待ちわびてって感じで。
あぁ何というか、俺には理解できない世界。」
劉巾は頭をかきむしった。
ここは、例の秘密会議室、ならぬ獅子(しし)の仕事部屋である。