月物語2 ~始まりの詩にのせて~
「わかりました。
確かにこのままでは追いつかれてしまいます。
いいですか。
そのまま走ってください。
不安を抱かず、伯升だけを見てください。」
礼は伯升を見ながら頷く。
「離します。」
音がやんだ。
何故か身体が軽くなった気がする。
白馬と共に、風になった。
それからどれくらい駈けたのか、空が白ずんできた。
「見えました。」
伯升が言った。
城壁だ。
「まだ伝令が飛んでないことを祈りましょう。」