月物語2 ~始まりの詩にのせて~
―4―
「「何!?」」
二人の高官が声をあげたのは、場所は異なれどほぼ同時刻であった。
一人は郭泰丞相、もう一人は金大好である。
「はっはっは。
あの若き王にも、度胸と行動力はあったか。
意外や意外。
はっはっは。」
「はっはっは……
じゃありません!
郭丞相。」
楽布(がくふ)は厳しく言った。
楽布は、郭丞相の副官である。
長年一緒にいるが、郭丞相は間違いなく王の器を持っている。
楽布には、何故天があのような未熟な王を選んだのか、全く理解できなかった。