月物語2 ~始まりの詩にのせて~
「主上は、もう城郭の外に出てしまわれて、今行方を追っています。」
「ほう。主上は馬には乗れたのか?
まさか徒歩ではあるまい。」
「誰かに、馬も旅支度も用意させていたようです。
乗馬は、できないと聞いておりましたが。」
「まあ、誰が用意したのか大体は予想がつくが。
あやつも、そっちの才はあるから、尻尾は簡単には掴めないだろうな。
ところで楽布、王は何のために張湯と彩夏を逃したと思うか?」
「彩夏殿とは親しくしていたと聞きます。
張湯殿は旅案内と護衛に。」